WORKS実績紹介
都内初CLT工法によるリジョイス101
1988年に当社で新築をいたしました木造2階建てアパートの建替え工事となりました。
再度当社に新築のご用命いただき、建設会社としては名誉な事であり、お施主様には感謝に耐えません。
近年、近隣に多くの木賃アパートの建て替えがあり、粗全ての物件が鉄骨系ハウスメーカーによる建て替え事例でしたので、お客様のご要望としては差別化を図る為に違う工法で施工することが課題となりました。当初検討したのが鉄筋コンクリート造でしたが、資材等の高騰で採算が合わないことが判り断念することになりました。
そこで、以前より当社で検討しておりましたCLT工法で建設をお勧めすることに致しました。CLT工法は木造ということになるのですが、高層建築も可能な工法で、CO2削減に効力のある大規模建築物の木造化を推奨したい国の意向によって補助金が活用できます。建築費としては鉄筋コンクリート造や鉄骨造に比べ若干安いのですが補助金によってさらに安くなります。木造でそんな高価なのと思う方もいらっしゃると思いますが、木造とはいえ高層建築物も建築できる工法となりますので、木造であって木造で非ず、別物とご理解ください。
しかしながら、新工法ゆえの苦労がありました。まず、確認申請の問題でCLT を理解している建築検査機関が都内では1社しか存在せず、その検査機関でも試行錯誤の上確認行為を行うことになりました。その他確認検査に掛かる時間の問題や融資の問題など、細かい所を挙げればきりがありません。この辺もお客様の熱意と理解が無ければ成しえなかったことと思います。
建設当時、都内では構造材の全てをCLT構造パネルで施工した共同住宅施工事例としては初めての建物となりました。
その数々の苦労の甲斐あり、内装にもCLTの木質部分が露出するなど他の物件との差別化に成功し、建築してすぐに居住者が決まり順調な滑り出しとなりました。
CLT(Cross Laminated Timber)とは、ひき板を繊維方向が直交するように積層接着したパネルです。
欧米を中心にマンションや商業施設などの壁や床として普及しており、我が国においても国産材CLTを活用した中高層建築物などの木造化による新たな木材需要の創出に期待されています。
特徴として、
・コンクリートの養生期間が不要のため、短時間で施工が出来る。
・建物の重量が軽くなり、基礎工事の簡素化ができる。
・同じ厚さで比較すると、CLT(木材)はコンクリートより断熱性が高い。
又、国産材(地域材)で製造されたCLTを活用することは、SDGsの推進の観点から、以下のような意義があると考えます。
(2020年内閣官房、林野庁、国土交通省、環境省)
① ライフサイクルを通じたCO2排出の大幅削減(排出量はRC造の20~30%・S造の70%)
② 資源のサステナブルな利用(CO2の吸収力の落ちた老木の利用は、脱炭素のためにも必要)
③ 里山保全・地域経済への貢献(戦後の大規模な植林が老齢期を迎えている→森林リサイクルの実践)
下の画像はSDGsを見据え、建物の木造化を推進する為、CLT材を使用した国内及び海外の施工事例です。
※化石燃料の使用により排出されたCO2を削減する為には、都市建築物の木造化が欠かせない。
Date : 2023.05.22
Category :
APARTMENT